産業廃棄物収集運搬とは?許可が必要になるケースを分かりやすく解説

夕日を背景に、スクラップの山から金属を掴み上げる重機(ショベルカー)のドラマチックな逆光写真

産業廃棄物収集運搬とは

産業廃棄物収集運搬とは、事業活動に伴って発生した産業廃棄物を、排出事業者のもとから収集し、適切な処理施設まで安全に運搬する業務をいいます。
この業務は誰でも自由に行えるものではなく、原則として都道府県知事の許可である「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得した事業者のみが行うことができます。

産業廃棄物には、燃え殻・金属くず・廃プラスチック類・がれき類など、法令で定められた種類があり、これらは焼却・圧縮・脱水などの中間処理を経てリサイクルされるか、最終処分場で適切に処分されます。
収集運搬業は、その処理工程へ廃棄物を安全に引き渡す役割を担う、処理フローの重要な一段階です。

具体的な業務内容としては、

  • 排出事業者から廃棄物を受け取る
  • 種類・数量・性状の確認
  • 適切な積込み・荷姿管理
  • 処理施設までの運搬
  • 処理施設への引き渡し
  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)の確認・管理

などが挙げられます。

また、運搬は通常トラックなどの車両で行われますが、廃棄物の種類や運搬条件によっては、船舶や鉄道を利用する場合もあります。
いずれの場合でも、飛散・流出・悪臭の防止などの安全対策を講じ、廃棄物の性状を変えずに適切に運搬することが求められます。

さらに、収集運搬の過程では、一時的に廃棄物を保管したり別の車両へ積み替える「積替え保管」を行うケースもありますが、この場合は保管施設の基準や追加許可が必要となるため、通常の収集運搬よりも厳格な管理が求められます。

産業廃棄物が不適切に処理されると、土壌・水質・大気などの環境汚染につながるおそれがあるため、法令に基づく適正な運搬管理が重要です。
そのため、排出事業者が運搬を委託する際も、許可業者であることの確認やマニフェストの運用など、適切な管理が求められています。

産業廃棄物収集運搬業の役割

産業廃棄物収集運搬業は、単に廃棄物を運ぶだけの業務ではなく、適正処理を支える重要な役割を担っています。まず、排出事業者の現場から廃棄物を安全かつ適切に回収し、飛散・流出・悪臭などを防止しながら処理施設まで確実に運搬することが基本的な役割です。

また、廃棄物処理法などの関連法令を遵守し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)により処理の流れを記録・管理することで、不適正処理や環境汚染の防止にも寄与しています。これにより、土壌・水質・大気への悪影響を未然に防ぎ、適正処理の透明性を確保する役割も果たしています。

さらに、許可を受けた中間処理施設や最終処分場へ確実に搬入することはもちろん、廃棄物の性状や処理方法に関して排出事業者へ情報提供や助言を行うなど、適正処理を支援する側面もあります。事故防止やリスク管理の観点からも、漏洩・火災・交通事故などを防ぐ管理体制の整備が求められます。

また、廃棄物の性状や処理方法によっては、資源循環や再利用の観点から適切な処理ルートへつなぐ役割を担うこともありますが、これらが廃棄物に該当するか、有価物として扱われるかについては個別の判断が必要です。こうした点も含め、収集運搬業は地域環境の保全や社会活動を支える重要なインフラとして機能しています。

収集運搬業許可が必要なケース・不要なケース


例えば、他社の産業廃棄物を運搬する場合は、
原則として産業廃棄物収集運搬業許可が必要となります。

継続的な運搬に限らず、
他人の産業廃棄物を取り扱う場合には、
一度の運搬であっても許可が必要となる可能性があります。

一方で、自社で排出した廃棄物を自社で運搬する場合や、
専ら再生利用される物などは、
許可が不要となるケースもあります。

ただし、契約形態や廃棄物の性状によって判断が変わるため、
詳細は個別に確認することが重要です。

積替え保管を伴う収集運搬について

産業廃棄物収集運搬業における「積替え保管」とは、廃棄物を排出事業者の現場から処分施設へ運搬する途中で、いったん荷を降ろして保管したり、別の車両へ積み替える行為をいいます。
通常の収集運搬(直接運搬)とは異なり、保管施設の構造基準や管理体制などについて追加の審査が行われます。

静岡県では、複数の排出事業者の廃棄物が混合することで排出事業者責任が不明確になるおそれなどから、積替え保管を伴う収集運搬業許可は一般的にハードルが高いとされています。
そのため、通常の収集運搬に比べて許可取得が容易とは言えず、個別事情の確認や事前相談が重要になります。

もっとも、廃棄物の性状や処理事情によっては例外的に許可が認められる場合もあります。例えば、処理施設が限られる特殊な廃棄物や遠方処理が前提となるケース、小ロット収集が必要な場合などでは、個別の事情を踏まえた判断がなされることがあります。
具体例としては、水銀含有製品廃棄物、廃バッテリー、感染性廃棄物などが挙げられます。

なお、積替え保管施設の所在地が政令指定都市(静岡市・浜松市など)の区域内にある場合は、都道府県ではなく当該市長への許可申請となる点にも注意が必要です。

産業廃棄物収集運搬業許可の申請の流れ

産業廃棄物収集運搬業許可の取得には、事前準備から申請、審査を経て許可取得までいくつかのステップがあります。自治体により多少の違いはありますが、一般的な流れは次のとおりです。

① 講習会の受講

許可申請にあたっては、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講し、修了証を取得する必要があります。

② 要件確認・事前準備

車両や保管施設(該当する場合)、財務状況、欠格要件の有無など、許可基準を満たしているか確認します。

③ 申請書類の作成・提出

事業計画書、車両関係書類、講習修了証、法人資料などを整え、管轄自治体へ申請します。

④ 審査・補正対応

提出書類の審査が行われ、必要に応じて補正や追加資料の提出を求められることがあります。

⑤ 許可証の交付

審査を経て問題がなければ許可証が交付され、収集運搬業を開始できるようになります。

なお、審査期間は自治体や申請内容によって異なりますが、一般的には申請を受理されてから許可まで40日程度を見込むことが多いです。

産業廃棄物収集運搬業許可の主な要件

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、廃棄物処理法に基づき一定の要件を満たす必要があります。主なポイントとしては、講習会の受講、運搬体制の整備、そして事業を継続できる財務基盤などが挙げられます。

まず、申請にあたっては公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講し、修了証を取得していることが必要です。これは適正処理に関する知識を備えていることを確認するためのものです。

次に、収集運搬に使用する車両や容器などについて、廃棄物の飛散・流出防止などの安全対策が講じられていることが求められます。車両表示や管理体制の整備も重要な確認事項となります。

また、許可取得後も継続して事業を行えるだけの経理的基礎(財務状況)があることも要件の一つです。具体的には、債務超過の有無や資金繰りの状況などが審査対象となります。

このほか、欠格要件に該当しないことなども重要な審査項目となるため、事前の確認が大切です。

なお、要件の詳細や判断基準は自治体ごとに運用が異なる場合もあるため、具体的な申請を検討する際には個別確認が必要になります。

許可取得にかかる費用と期間の目安(静岡県の場合)

産業廃棄物収集運搬業許可の取得には、申請手数料や講習受講費用などの準備費用が必要になります。また、申請後は自治体による審査期間を経て許可証が交付されます。

新規の収集運搬業許可申請にかかる法定手数料は 81,000円 です。
このほか、講習会受講費用や証明書取得費用などが別途必要となります。

審査期間については、静岡県の標準処理期間として 申請受理後おおむね40日程度 とされています。ただし、書類の補正が生じた場合や申請内容によっては、さらに期間を要することもあります。

なお、審査期間は自治体や申請内容によって異なるため、静岡県以外での申請を予定している場合は個別に確認しておくことが重要です。

申請窓口(担当健康福祉センター)について

産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、事業計画の内容や収集区域、積替え保管の有無などによって担当となる窓口(健康福祉センター・政令指定都市)が異なります。
申請先を誤ると受付不可や手続きの遅れにつながる可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。

静岡県における担当健康福祉センターの決め方や判断基準については、別記事で詳しく解説していますので、申請を検討されている方はあわせてご確認ください。

まとめ|産業廃棄物収集運搬業許可のポイント

産業廃棄物収集運搬業許可は事前準備や要件確認が重要となるため、不明点がある場合は早めに確認しておくことをおすすめします。

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