産業廃棄物収集運搬業許可が必要なケース・不要なケース
産業廃棄物収集運搬業は、誰でも自由に行える業務ではなく、原則として都道府県知事等の許可が必要です。ただし、すべての運搬行為に許可が必要というわけではなく、状況によっては許可が不要となるケースもあります。
ここでは、実務上よく相談のあるケースを中心に、「許可が必要な場合」と「不要な場合」を解説します。
許可が必要となる主なケース
基本的に、「他人(排出事業者)から委託を受けて、産業廃棄物を運搬する場合」は必ず許可が必要です。
次のような場合は、原則として産業廃棄物収集運搬業許可の取得が必要になります。
- 他人の廃棄物を運ぶとき
自社以外の会社から「このゴミを処分場まで運んでほしい」と頼まれた場合は、たとえ無償であっても原則として許可が必要です - 積み替え保管を行うとき
運ぶ途中で一度自分の土場や倉庫にゴミを降ろし、別のトラックに積み替える場合は「積み替え保管あり」という区分での許可が必要になります。 - 県境をまたぐとき
ゴミを積み込む場所(排出場所)と、ゴミを降ろす場所(処分場など)の両方の都道府県知事(政令指定都市の場合は市長)の許可が必要です。
許可が不要となる主なケース
次のような場合は、例外的に収集運搬業許可が不要とされることがあります。
- 自ら運搬する場合(自社運搬)
最も一般的な例外です。ゴミを出した本人(排出事業者)が、自分のトラックで、自分の責任において処分場まで運ぶ場合は許可がいりません。 - 専ら再生利用の目的となる廃棄物(専ら物)のみを運ぶ場合
古紙、くず鉄、あき瓶、古布の4種類(通称:専ら物)を、再生利用(リサイクル)目的で専門に扱う業者に運搬を委託する場合は、許可が不要とされています。 - 下取り行為
新しい商品を購入した際に、同種の古い製品を無償で引き取って持ち帰る「下取り行為」は、収集運搬業の許可が不要な場合があります(環境省の通知による)
よくある「勘違い」しやすいケース
- 少量の運搬
「軽トラ1杯分だから」「1袋だけだから」という量の少なさは、許可不要の理由になりません。 他人のゴミを仕事で運ぶなら、少量でも許可が必要です。 - 無償の運搬
「お金をもらっていないからボランティアだ」と言っても、事業活動に伴って他人のゴミを運ぶ場合は、原則として許可が必要です(下取り等の例外を除く) - 親子会社間の運搬
「親会社のゴミを子会社が運ぶ」「グループ会社だから身内だ」という理屈は通りません。別法人であれば「他人」扱いとなり、許可が必要です。
許可が不要でも「基準」は守らなければなりません
自社運搬などで許可が不要な場合でも、「産業廃棄物収集運搬基準」に従う義務があります。
1.収集、運搬は次のように行うこと。
- 車両の側面に産業廃棄物収集運搬車両であること、事業者の氏名または名称を定められた方法で表示すること
- 産業廃棄物が飛散し、流出しないようにすること。
- 悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障がないよう必要な措置を講じること。
- 収集、運搬のための施設を設置する場合は、生活環境の保全上支障を生じるおそれのないよう必要な措置を講じること。
- 運搬車、運搬容器及び運用パイプラインは産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのないものであること。
- 運搬時に備え付ける書面には、次の項目を記載すること
・氏名または名称及び住所
・運搬する産業廃棄物の種類及び数量
・運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称、所在地及び連絡先
・運搬先の事業場の名称、所在地及び連絡先
無許可運搬(収集運搬業の無許可営業)
無許可運搬(収集運搬業の無許可営業)は、廃棄物処理法においてもっとも重い部類の罰則が規定されています。
驚かれるかもしれませんが、「知らなかった」では済まされない非常に厳しい内容です。運んだ業者だけでなく、頼んだ側(排出事業者)も同等の罰則を受ける可能性があるのがこの法律の恐ろしいところです。
運んだ業者(無許可業者)への罰則
許可を受けずに産業廃棄物の収集運搬を「業(仕事)」として行った場合、以下の罰則が科される可能性があります。
- 懲役・罰金: 5年以下の懲役 もしくは 1,000万円以下の罰金(またはその両方)
- 法人への重罰(両罰規定): 行為者だけでなく会社に対しても、3億円以下の罰金が科される可能性があります。
依頼した側(排出事業者)のリスク
「許可がないとは知らなかった」という言い訳は通用しません。排出事業者は、委託先が適切な許可を持っているか確認する義務があります。
- 委託基準違反: 無許可業者に運搬を委託しただけで、5年以下の懲役 もしくは 1,000万円以下の罰金の対象になります。
- 措置命令: もし運んだ先で不法投棄などが起きた場合、排出事業者が「自費でゴミを回収せよ」という行政命令(措置命令)を受けるリスクがあります。これに従わない場合も厳しい罰則があります。
社会的・経営的なリスク
刑事罰以外にも、以下のような致命的なダメージを受ける可能性があります。
- 許認可の取り消し(欠格要件): 廃棄物処理法で罰金刑以上の刑が確定すると、他の行政許可(建設業許可など)も連鎖的に取り消される「欠格要件」に該当する可能性があります。
- 実名の公表: 行政処分を受けた場合、自治体のホームページなどで社名が公表されます。「コンプライアンス違反の会社」として、取引先からの信頼を完全に失うことになります。
- 不法投棄への加担: 無許可業者は正当な処分ルートを持っていないことが多いため、預けたゴミが山林などに不法投棄されるケースが後を絶ちません。その場合、排出事業者の責任も厳しく追及されます。
「許可の要否を誤ると法的リスクにつながるため、判断に迷う場合は早めに確認しておくことをおすすめします。」










