建設業許可29業種のうち、「電気工事業」の建設業許可を取得するために、必要な事をお伝えしたいと思います。
建設業許可を取得するメリットとして、500万以上の大きな工事を請負えますし、社会的な信用も大きく、建設業許可のない他社との差別化にもつながります。
この間、自宅にリフォーム工事の営業の方が来たのですが、建設業許可の有無を確認したところ取得していないということなのでお断りさせていただきました。
「500万円を超える事はほぼない」から必要がないと仰ってましたが、
建設工事の料金は安いものではないので、消費者としては官公庁から認められているというのは大きな判断材料となります。
そんな建設業許可を取得するためには、
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者がいること
- 適切な社会保険に加入していること
- 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎
- 欠格要件に該当しないこと
この6つを許可要件といい、どの建設業許可を取得するにしても必要な要件となります。
特に大事な要件として経営業務の管理責任者がいることと専任技術者がいることが複雑で、
「電気工事業の許可をもらうために必要な、十分な経営能力、技術力がありますよ」と証明することが大変な部分です。
建設業法における電気工事とは?
建設業許可事務ガイドラインによると、
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事とされています。
電気工事の例示として、
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事が挙げられます。
電気工事業の経営業務の管理責任者になれる人
経営業務の管理責任者の事を略して、経管(ケイカン)と言ったりします。経管は法人であれば役員、個人事業主であれば個人事業主本人または支配人がなる必要があります。
適切な経営能力
次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位として6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
これらは、経験の対象となる業種は問いません。異なる業種の経験の合算を認められています。
常勤する役員の中に上記いずれかをクリアする人がいない場合は、常勤する役員のうちに以下の条件の人、さらにプラスしてまた別の人を「補佐する者」として置いていることが必要です。
- 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
- 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者
「補佐する者」とは?
- 許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者
- 許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者
- 許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者
1人の方が上記3つを兼ねることも可能です。
電気工事業の専任技術者になれる人
専任技術者のことを略して専技(センギ)と言ったりします。
専技になるには次のいずれかの要件が必要です。
電気工事業に対応する資格を持っている人
- 一級電気工事施工管理技士★
- 二級電気工事施工管理技士
- 建設・総合技術監理(建設)技術士★
- 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)技術士★
- 電気電子・総合技術監理(電気電子)技術士★
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士
※資格取得後、電気工事業の登録を受けている会社での実務経験3年以上が必要 - 電気主任技術者(第1種~第3種)
※資格取得後、電気工事業の登録を受けている会社での実務経験5年以上が必要 - 建築設備士
※資格取得後、電気工事業の登録を受けている会社での実務経験1年以上が必要 - 計装
※資格取得後、電気工事業の登録を受けている会社での実務経験1年以上が必要 - 登録電気工事基幹技能者
★は特定建設業許可にも対応している資格です。
電気工事業に関する所定の学科を卒業して、一定の実務経験期間があること
電気工事業の所定学科は、電気工学又は電気通信工学に関する学科です。
- 所定学科の中学・高校卒業の場合は、卒業後の実務経験5年
- 所定学科の大学・高等専門学校の場合は、卒業後の実務経験3年
- 所定学科の専修学校の場合は、卒業後の実務経験5年(専門士、高度専門士であれば3年)
電気工事業は実務経験が10年以上あっても専任技術者として認められません
他の業種では認められている10年以上の実務経験ですが、電気工事士法が絡むことにより認められていません。間違っている行政書士事務所のサイトも多いので注意が必要です。
経管、専技共に常勤である必要があります。
適切な社会保険への加入していること
社会保険等については、加入義務のあるもの全てが加入していなければ、加入扱いになりません。なお、これらの加入は従業員本人の意思とは関係ありません。
健康保険及び厚生年金保険
- 法人の場合は、役員1人であっても加入が必須です。
- 個人事業主の場合は、常時使用者が5人以上の場合は加入が必須です。
雇用保険
下記以外の労働者
- 1 週の労働時間 20 時間未満
- 31 日以上継続雇用の予定なし
- 学生、生徒等
- 一人親方等個人事業主
- 法人代表者・役員
請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
建設業の営業は、基本的に注文生産であるため、その取引の開始から終了までに長い期日を要し、また前払いなどが、習慣化していることにより、いわば信用を前提として行われるものであって、請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするような者に営業を認めることはできません。
このことから、建設業許可の対象となる者が、法人の場合においては、当該法人又は役員等(非常勤も含む)若しくは令第3条に規定する使用人が、個人である場合においては、本人又は令第3条に規定する使用人が、請負契約に関して「不正」又は「不誠実」な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。
不正な行為と不誠実な行為
- 「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等法律に違反する行為をいいます。たとえば、詐欺、脅迫、横領、文書偽造などの法律に違反する行為を行うこと
- 「不誠実な行為」とは、請負契約に違反する行為をいいます。たとえば、工事内容や工期、天災等不可抗力による損害の負担等請負契約に違反する行為
請負契約を履行するに足る財産的基礎
倒産することが明白である場合を除き、建設業の請負契約を履行するに足りる以下の財産的基礎又は金銭的信用を有していることが必要です。
この基準に適しているかどうかの判断は、原則既存の企業にあっては、申請時の直前の決算期における財務諸表(貸借対照表)により、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表(貸借対照表)により判断します。
一般建設業
次のいずれかに該当すること
① 自己資本の額が 500 万円以上である者
② 500 万円以上の資金調達能力がある者
③ 許可申請直前の過去 5 年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者
特定建設業
次のすべての要件に該当すること
① 欠損の額が資本金の 20%を超えないこと
② 流動比率が 75%以上であること
③ 資本金の額が 2,000 万円以上あること
④ 自己資本の額が 4,000 万円以上あること
特定建設業には下請け業者保護のため、とても厳しい基準が設けられています。
欠格要件に該当しないこと
欠格要件の対象者は、取締役、執行役などの役員や令3条の使用人、個人事業主などです。
欠格要件
- 成年被後見人、被保佐人(医師の診断書の提出があった者を除く)
- 破産者で復権を得ないもの
- 不正手段による許可の取得、営業停止処分を無視した営業により許可の取消処分を受け、5年を経過しない者
- 取消処分に係る聴聞の通知があった日以降、廃業届出をした者で、その届出の日から5年を経過しないもの
- 営業停止期間が経過しない者
- 許可を受けようとする建設業について、営業禁止期間中の者
- 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等でなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法又は一定の法令の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 暴力団員等でなくなった日から5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格要件に該当すること
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
弊所では、お客様に代わって複雑な申請手続きをフルサポート致します!
料金システム |
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建設業許可(新規申請) 110,000円~ |
建設業許可(更新申請) 55,000円 |
決算変更届(事業年度終了届) 33,000円 |
経営業況分析+経営事項審査 77,000円 |
各種変更届(専任技術者など) 22,000円~ |
電気工事業者登録申請 33,000円~ |
解体工事業登録申請 44,000円 |