その他の審査項目(社会性等)では、建設業者が社会的な責任を果たしているかどうかなどを評価して点数化します。
評価項目が多岐に渡るうえ、評価項目の要件が満たされていない場合には減点となる項目もあるため正しい理解が必要です。
総合評定値における割合は約15%と高くありませんが、点数の上下の振れ幅が大きくマイナスとなる場合もあるので、総合評定値全体の足を引っ張る可能性もあります。
法改正により審査基準日(決算日)が令和5年8月14日以降から算出式が変わります。 下記は令和5年8月14日以降の評価項目および算出式です。
- (w1)建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
- (w2)建設業の営業年数
- (w3)防災活動への貢献の状況
- (w4)法令順守の状況
- (w5)建設業の経理の状況
- (w6)研究開発の状況
- (w7)建設機械の保有状況
- (w8)国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況
上記の評価をもとに以下の計算式で算出します。
その他の審査項目(W)の評点=(w1~w8)の合計点×(1,750÷200) |
(w1)建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
保険制度等 | 未加入 | 加入 |
---|---|---|
①雇用保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
②健康保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
③厚生年金保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
④建退共の加入状況 | 0点 | 15点 |
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入 | 0点 | 15点 |
⑥法定外労災制度の加入状況 | 0点 | 15点 |
⑦若齢技術者及び技能者の育成及び確保の状況 | 該当 | 非該当 |
---|---|---|
継続雇用(35歳未満が15%以上) | 1点 | 0点 |
新規雇用(35歳未満が1%以上) | 1点 | 0点 |
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」は、 雇用する技術者及び技能者の知識及び技術又は技能の向上に努めている企業を加点評価します。
算出式
(技術者数÷(技術者数+技能者数)×技術者点)+
(技能者数÷(技術者数+技能者数)×技能者点)
技術者数は、監理技術者になる資格を有する者、主任技術者になる資格を有する者、一級技士補及び二級技士補の数の合計になります。
技能者数は、審査基準日以前三年間に、建設工事の施工に従事した者であって、 作業員名簿を作成する場合に建設工事に従事する者として氏名が記載される者 (ただし、建設工事の施工の管理のみに従事する者(監理技術者や主任技術者として管理に係る業務のみに従事する者)は除く)の数になります。
算出テーブル
算出値 | 評点 |
---|---|
10 | 10 |
9以上10未満 | 9 |
8以上9未満 | 8 |
7以上8未満 | 7 |
6以上7未満 | 6 |
5以上6未満 | 5 |
4以上5未満 | 4 |
3以上4未満 | 3 |
2位上3未満 | 2 |
1以上2未満 | 1 |
1未満 | 0 |
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況
「女性活躍推進法に基づく認定」、「次世代法に基づく認定」及び「若者雇用促進法に基づく認定」について、 審査基準日における各認定の取得をもって、以下の評点で評価します。
女性活躍推進法に基づく認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」
「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
- プラチナえるぼし 5点
- えるぼし(第3段階) 4点
- えるぼし(第2段階) 3点
- えるぼし(第1段階) 2点
厚生労働省ホームページ:女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」
次世代法に基づく認定
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働省の認定(くるみん認定)を受けることができます。この認定を受けた企業の証が、「くるみんマーク」です。
- プラチナくるみん 5点
- くるみん 3点
- トライくるみん 3点
若者雇用促進法に基づく認定
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
- ユースエール 4点
⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況
建設工事の担い手の育成・確保に向け、技能労働者等の適正な評価をするためには、 就業履歴の蓄積のために必要な環境を整備することが必要であり、CCUSの活用状況を 加点対象とします。
審査基準日が令和5年8月14日以降審査対象になります。
審査対象工事
以下の①~③を除く審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事
① 日本国内以外の工事
② 建設業法施行令で定める軽微な工事
・工事一件の請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円に満たない工事)
・建築一式工事のうち面積が150m²に満たない木造住宅を建設する工事
③ 災害応急工事
・防災協定に基づく契約又は発注者の指示により実施された工事
該当措置※①~③のすべてを実施している場合に加点されます。
① CCUS上での現場・契約情報の登録
② 建設工事に従事する者が直接入力によらない方法※でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備
③ 経営事項審査申請時に様式第6号に掲げる誓約書の提出
加点要件
審査対象工事のうち、民間工事を含む全ての建設工事で該当措置を実施した場合:15点
審査対象工事のうち、全ての公共工事で該当措置を実施した場合:10点
審査項目追加後は、その他評点Wの算出時の係数が(1900/200)から(1750/200)に変更されるため、「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置(W1-⑩)」の実施状況の加点がないと、その他評点W・総合評点Pで評点ダウンします。
建設業の営業年数(W2)
建設業の営業年数(W2)は、営業年数点数と民事再生法・会社更生法の適用有無点数を加算したものです。
W2=営業年数点数 + 民事再生法・会社更生法の適用有無点数 |
営業点数年数
営業年数は、建設業の許可を受けた時を起算点として、審査基準日までの期間とします。 1年未満の端数があるときは切り捨てます。
営業年数5年以下は0点、6年以上35年までは、営業年数が1年増える毎に点数が2点アップします (最大60点:営業年数35年以上)。
民事再生法・会社更生法の適用有無点数
民事再生法・会社更生法の適用有無点数は、適用有りの場合は-60点です。 適用なしの場合は0点です。
防災協定点数(W3)
防災協定の締結 | 点数 |
---|---|
有 | 20点 |
無 | 0点 |
防災協定とは、災害時の建設業者の防災活動等について定めた建設業者と国、特殊法人等又は地方公共団体との間の協定をいいます。 活動計画書や証明書等により、防災活動に一定の役割を果たすことが確認できる企業について加点します。
法令順守の状況(w4)
法令順守状況 | 点数 |
---|---|
営業停止処分 | -30点 |
指示処分 | -15点 |
処分なし | 0点 |
建設業の経理の状況(W5)
建設業経理の状況点数は、監査の受審状況点数と公認会計士等数点数を加算したものです。
建設業経理の状況点数 = 監査の受審状況点数 + 公認会計士等数点数 |
監査の受審状況 | |
---|---|
会計監査人の設置 | 20点 |
会計参与の設置 | 10点 |
経理処理の適正を確認した旨の書類の提出 | 2点 |
監査無し | 0点 |
公認会計士等の数
※公認会計士等数値については、以下の点数表に当てはめて算出します。
公認会計士等数値=(自主監査できる資格者等の数×1)+(登録経理講習を受講した2級建設業経理士の数×0.4)
研究開発の状況(W6)
研究開発の評価項目は、会計監査人設置会社のみ評価対象となるため、会計監査人設置会社でない大部分の中小企業は評価対象となりません。
建設機械の保有状況(W7)
建設機械の保有状況点数は、建設機械の保有台数(1~15台)で加算され、最高15点です。 建設機械を所有していない場合は0点です。
建設機械を自ら所有している場合の他、審査基準日から1年7ヶ月以上の使用期間が定められている リース契約を締結している場合に評価対象になります。
経審加点対象の建設機械
- ショベル系掘削機
ショベル系掘削機は、ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン 又はパイルドライバーのアタッチメントを有するもの
- ブルドーザー
ブルドーザーは、自重が3トン以上のものが評価対象になります。
- トラクターショベル
トラクターショベルは、バケット容量が0.4立方メートル以上のものが評価対象になります。
- モーターグレーダー
モーターグレーダーは、自重5t以上のものが評価対象になります。
- ダンプ
ダンプは、土砂の運搬が可能な全てのダンプで、 「ダンプ」「ダンプフルトレーラ」「ダンプセミトレーラ」などです。
令和5年1月の法改正により、土砂の運搬が可能な全てのダンプが、評価対象に追加されました。
- 移動式クレーン
移動式クレーンは、つり上げ荷重3t以上のものが評価対象になります。
- 脇固め用機械
- 解体用機械
- 高所作業車
高所作業車は、作業床の高さが2m以上のものが評価対象になります。
国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況(W8)
国際標準化機構の登録状況点数は、ISO9001, ISO14001、 エコアクション21に登録している場合に加点されます。(最高10点)。
国際標準化機構の登録状況 | 有 | 無 |
---|---|---|
ISO9001 | 5点 | 0点 |
ISO14001 | 5点 | 0点 |
エコアクション21 | 3点 | 0点 |
※ISO14001を取得している場合は「エコアクション21」の3点は追加されません。
料金システム |
---|
建設業許可(新規申請) 110,000円~ |
建設業許可(更新申請) 55,000円 |
決算変更届(事業年度終了届) 33,000円 |
経営業況分析+経営事項審査 77,000円 |
各種変更届(専任技術者など) 22,000円~ |
電気工事業者登録申請 33,000円~ |
解体工事業登録申請 44,000円 |